西教寺保育園 - 物語の世界

第3回城山三郎経済小説大賞受賞
第11回九州さが大衆文学賞 笹沢左保賞受賞
受賞者 指方恭一郎(西教寺乳児保育園の園長です) 

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黄金階段という話を御存じですか。物語を作る上、また語る上で特に大事だとされていることです。
さて、黄金階段とは何か? 
黄金で作られた階段を想像してみてください。美しい金色に輝く階段です。その階段はどこにつながっているでしょうか? 舞踏会の行われる2階の大広間ですか? それともドアの向こうにある自分の部屋ですか?

いろんな回答があると思います。ここで問題です。もし、その黄金階段がどこともつながっておらず、2階の壁に向けて掛けられていたらどうでしょうか。

あなたは、そんな階段に興味がありますか?


そうなんです。階段ですから、たとえ黄金で作られていようとも、どこか別の場所につながっていなければ意味がありませんよね。
童話や物語も同じことなのです。どんなに美しい言葉で彩られていようとも、行き着く先が何もない場所であっては意味がないですよね。
世界中で愛されてきた名作や、日本の昔話には、素敵な場所へと連れて行ってくれる力があるのです。それゆえに、そんな作品こそ、黄金階段だと言えるでしょう。

さて、ここでまた問題があります。連れて行かれた場所が、舞踏会が行われる素敵な場所だったとしても、舞踏会の意味がわからず、また初めて見る場所であったら、子供たちはどう感じるでしょうか?

そこでナビゲーター(案内人)が必要となってきます。いま君たちが物語によって連れて来られた場所は、こんなところなんだよ、と説明してあげられれば子供たちが理解していくことにどれほど役立つでしょうか。

そこで作家である園長が、子供たちにお話を聞かせてあげることの意味があるのです。

さあ、みんなですばらしい黄金の階段を上っていきましょう。


18年4月より現在まで「保育資料(本願寺発行)」に毎月童話「真也子先生」連載中

「うちの保育園の子どもたちに、もっと物語や童話を聞かせてあげたい」との思いから、
毎週「作家指方恭一郎」として選んだ童話や物語を、子どもたちに読み聞かせるプロジェクトを始めることとしました。いま、早期教育が盛んです。しかし、早期教育とは早くから国語や算数や音楽を学んでいくことではありません。

喜びや悲しみを感じること。自分の知らない大きな世界を感じることがもっとも重要だ、と私は考えています。

大人になれば、仕事や雑事に追われてなかなか勉強する時間がとれません。それと同じように、子どものうちに豊かな情操を育てなければ、時期を逸してしまいます
どうでしょうか。物語のプロが総力をあげて子供たちに楽しい夢の世界を提供します。親子共々お楽しみ下さい。

指方恭一郎